『おんねこ』は、独特な絵柄や台詞、予想を外す展開によって、厳しい批判と「なぜか面白い」という反応が同時に生まれたWeb漫画です。
「意味不明」「うざい」「きもい」「怖い」「可愛くない」といった言葉だけを見ると低評価一色に思えますよね。ところが2022年当時の反応を追うと、批判しながら読み続ける人や、特定の場面を面白がる人も確認でき、単純な好き嫌いだけでは説明しにくい作品だったことが見えてきます。
おんねこは面白い?まず何が起きた漫画なのか
『おんねこ』は、和々寺らおんさんがSNSで公開していた、温泉好きの猫を中心とするWeb漫画です。
作品の設定については、後に『おんねこ』の画像利用が争われた大阪地方裁判所の判決文にも手掛かりがあります。判決資料には、作者がラウンドワンのキャラクター募集に応募した際、自作を「温泉が好きなネコの漫画」と説明していたことが記録されています。
つまり「おんねこ」という名前から想像できる通り、温泉と猫を組み合わせた癒やし系のキャラクター作品として発信されていたわけですね。
ところが2022年夏ごろになると、作品そのものとは別の方向から一気に注目を集めます。
大きかったのが、ナガノさんの『ちいかわ』との比較でした。
2022年7月23日の時点ですでにYahoo!知恵袋には「おんねこって漫画はなんで叩かれてるのですか」という質問が投稿されており、当時ネット上で作品への批判や比較がかなり目立つ状態になっていたことが分かります。
一方、当時の掲示板を記録したページを見ていくと、反応は批判だけではありません。
2022年7月30日のスレッドには絵柄や台詞への厳しい指摘が並ぶ一方で、「面白くて見てしまう」という趣旨の書き込みや、過去作品について「普通に読める」「漫画を描くのが好きだったことは伝わる」と評価する反応もありました。
ここが『おんねこ』を考えるうえで最初のポイントです。
「高く評価されていたから話題になった」わけでも、「嫌われていたから誰も楽しんでいなかった」わけでもありません。
批判する人も作品を読み、コマや表情を細かく確認し、さらに別の人がそれについて感想を言う。
そうしたネット特有の鑑賞方法によって、作品が何度も話題になっていったと考えたほうが実態に近そうです。
そして2022年9月30日、『おんねこ』の公式アカウントは漫画とイラストの更新をやめることを発表しました。
当時の投稿を記録した記事では、長く更新できていなかったことに触れたうえで、さまざまな意見がある状況を考慮して熟考したこと、まだ描き切れていないエピソードが残っている中での判断だったことが伝えられています。作者側自身が「物語半ば」であることにも触れており、物語が予定通り完結したというより、途中で更新を終えた形です。
ただし、ここは慎重に見なければなりません。
「ネットで炎上したから連載終了した」と原因まで断定するのは、確認できる発表内容を超えています。
確認できる事実は、さまざまな意見がある状況を踏まえて熟考し、2022年9月30日に更新終了を発表したというところまでです。
私はこの点が、『おんねこ』の記事を書くうえでかなり大切だと感じています。
炎上した作品では「Aの後にBが起きた」が、いつの間にか「AのせいでBになった」と語られがちです。
評判を検証するなら、ネット上の印象ではなく、まず「作品で何が描かれたか」「作者が何を発表したか」「読者がどう受け取ったか」を分けて見る必要がありますよね。
おんねこが「意味不明」と言われるのはなぜ?
「おんねこ 意味不明」と調べる人が気になっているのは、「ストーリーが難しい漫画なの?」という点ではないでしょうか。
結論からいうと、複雑な世界設定や難解な専門用語が原因で分かりにくいタイプの作品ではありません。
むしろ『おんねこ』が「意味不明」と評されやすかった理由は、読者が自然に補った前提と、その後のキャラクターの行動がかみ合わないように感じられる場面があることです。
ネット上でたびたび語られるものの一つが、後に「ウッドン編」などと呼ばれるようになったエピソードです。
記録されている解説では、「ウッドン」はおんねこたちが訪れる街の名前として扱われ、そこで登場する子どものキャラクターや母親をめぐる流れについて、読者の間で行動の意図や情報の伝わり方が議論されました。
ただし、ここで注意したいことがあります。
ネット上で「矛盾」と呼ばれる場面のすべてが、作中で明言された設定Aと設定Bが真っ向から食い違っているとは限りません。
読者が途中まで読んで「きっとこういう状況なのだろう」と補った情報と、その後の展開が合わなかった結果、「何でそうなるの?」と感じるケースもあります。
これは似ているようで、かなり違うんですよね。
「作者が設定を間違えた」という話と、「必要な情報が読者へ十分に伝わらなかった」という話は別だからです。
SNS漫画は数コマ単位で読まれることが多いため、一般的な長編漫画以上に「誰が何を知っているのか」「なぜその行動をするのか」を短いスペースで伝えなければなりません。
説明を増やせばテンポが落ちます。
反対に説明を減らしすぎれば、作者の頭の中ではつながっている出来事でも、読者からすると途中の階段が一段抜けたように感じられます。
私は、『おんねこ』の「意味不明」と言われる特徴は、物語が難しいというより、読者が推測するために必要な情報の置き方が独特だったことにあると考えています。
そして、それが皮肉にも作品を話題にする材料になりました。
普通なら「ちょっと分かりにくかったな」で読み流すところを、『おんねこ』では「これはどういう意味なのだろう」と別の読者まで巻き込んで検証が始まる。
理解しづらさがそのまま作品の長所になるわけではありませんが、読後に会話を発生させる力につながった点は興味深いところでしょう。
おんねこが「うざい・きもい・怖い・可愛くない」と言われる理由は?
『おんねこ』について調べると、「うざい」「きもい」「怖い」「可愛くない」といったかなり強い言葉を目にすることがあります。
ですが、これらを全部まとめて「嫌われているから」で終わらせると、なぜその評価が生まれたのかが見えません。
実際には、それぞれ引っかかっているポイントが少しずつ違います。
「うざい」は性格だけでなく動きや見せ方への反応
「うざい」という評価からは、主人公の性格だけが嫌われていたように感じますよね。
ところが当時の反応を読むと、キャラクターのポーズ、身体の角度、大きな感情表現など、視覚的な「動かし方」そのものが話題になっています。
2022年7月30日の掲示板記録でも、お辞儀の角度や横顔、表情など、普通なら読み流されそうな作画上の特徴まで細かく比較・批評されていました。
これは良し悪しとは別に、かなり珍しい状態です。
普通のキャラクターなら、読者は「かわいい」「かっこいい」と受け取って先へ進みます。
ところが『おんねこ』では、「なぜこの角度なのだろう」「この表情はどういう気持ちなのだろう」と、構図そのものが話題になる。
私は、ここに『おんねこ』特有の「引っかかり」があると思います。
洗練されているかどうかとは別に、一度見たコマを忘れにくいんですよね。
「怖い・可愛くない」は絵柄への期待とのズレ
「怖い」「可愛くない」という言葉は、主にキャラクターデザインや表情への反応として考えると分かりやすくなります。
2022年7月27日の掲示板を記録したページには、キャラクターの顔を見て「怖い」と反応する投稿が実際に残されています.
ただし、「かわいい」「怖い」は客観的に採点できるものではありません。
同じ絵を見ても、独特でかわいいと感じる人もいれば、不思議な印象を受ける人もいます。
特にデフォルメされた動物キャラクターは、正面顔では丸く見えても、横顔や斜め向きになった瞬間に立体構造が強く出ると印象が大きく変わります。
『おんねこ』の場合、そうした角度による印象の差までネット上で細かく取り上げられました。2022年7月30日の記録でも、横顔や立体感について複数の投稿が続いています。
そのため「可愛くない」という評価も、「デザインとして価値がない」と客観的に決まった話ではありません。
かわいい系のキャラクターに読者が期待する形と、『おんねこ』独自の描き方に差があったと見るほうが公平でしょう。
そして個人的には、ここには弱点と同時に強みもあったと思っています。
キャラクターは、完璧に整っているから記憶されるとは限りません。
少し癖があっても、一目で「あの作品だ」と分かる形は大きな識別要素になります。
『おんねこ』では、その癖を好意的に受け取れば「個性的」、合わなければ「怖い」「可愛くない」と表現されたのでしょう。
「きもい」は絵よりも作品全体への拒否感として使われやすい
「きもい」は、さらに扱いに注意したい言葉です。
見た目に対して使われる場合もあれば、台詞、人間関係、物語の運び方、キャラクター同士の距離感まで含め、「自分には合わない」という総合的な拒否反応として使われることもあります。
実際、後年に『おんねこ』を振り返った批評では、単純な作画だけでなく、キャラクターの行動や相手への反応、ストーリー上の受け答えまで詳しく取り上げられています。
そのため「おんねこは見た目がきもいと言われた漫画」とだけ説明してしまうと正確ではありません。
検索で見かける否定語を整理するなら、おおまかには、
- 「意味不明」=展開や情報のつながりが分かりにくいという反応
- 「うざい」=動き、表情、感情表現などへの反発
- 「怖い」=顔や表情から受ける視覚的な違和感
- 「可愛くない」=かわいいキャラとして期待した印象との差
- 「きもい」=物語や会話まで含めた総合的な拒否感
と分けて考えると理解しやすいでしょう。
もちろん、これはすべての読者に共通する厳密な定義ではありません。
重要なのは、検索結果に強い否定語が並んでいるからといって、それを作品の客観的評価として扱わないことです。
さらに、作品への批評と作者個人への攻撃も分けなければいけません。
2022年当時の掲示板記録には、絵やストーリーについての感想に混じって、作者個人の人格や発達・健康状態などを根拠なく決めつける投稿も確認できます。
そうした部分は作品評価の根拠にはなりません。
「この絵柄は自分には合わない」「この台詞は分かりにくい」と語ることと、作者本人を傷つける言葉を投げることはまったく別ですよね。
炎上した作品ほど、この境界線は意識しておきたいところです。
おんねこは嫌いなのに面白い?賛否が同居した理由
ここまでを見ると、「そんなに厳しく言われていたなら、なぜ今でも『おんねこ 面白い』と調べる人がいるの?」と疑問に感じるかもしれません。
私は、『おんねこ』には少なくとも二種類の「面白い」が存在したと考えています。
一つは、作品そのものの物語やキャラクターを好きになって楽しむ面白さ。
もう一つは、思っていた方向から少し外れる台詞や表情、展開に驚き、「なんだこれは」と誰かと語りたくなる面白さです。
後者は必ずしも称賛ではありません。
2022年7月30日の掲示板記録でも、作画や台詞を批判する書き込みが大量にある一方で、「面白くて見てしまう」という趣旨の反応が確認できます。さらに過去作品を読み、「普通に読める」「漫画を描くことへの熱意は感じる」と評価している投稿もありました。
つまり、
嫌いだから見ない
ではなく、
違和感があるから、もう少し見てしまう
という人が一定数いたわけです。
ここはSNS時代の作品を考えるうえで、とても面白いところですよね。
漫画雑誌なら、一作品を最初から最後まで読んで「好きだった」「合わなかった」と評価するのが基本です。
しかしSNSでは違います。
一つのコマ。
一つの表情。
一つの台詞。
一つの変わったポーズ。
それだけが切り取られ、作品を知らない人のタイムラインまで届くことがあります。
そこで「何これ?」と思わせれば、その人がさらに別の誰かへ見せる。
作品全体への高評価がなくても、人に説明したくなる場面を持つ漫画は拡散されるんですね。
『おんねこ』は、この「説明したくなる力」がかなり強かったのではないでしょうか。
私はここを、『おんねこ』評判の一番重要なポイントだと思っています。
「面白い」と「上手い」は同じ意味ではありません。
ストーリー構成が巧みだから面白い。
絵が美しいから面白い。
キャラクターがかわいいから面白い。
そういう王道の評価だけではなく、「予想外すぎて記憶に残る」「人と感想を共有したくなる」という面白さもネットには存在します。
『おんねこ』への反応を見ると、その違いが非常に分かりやすいんです。
一方で注意したいのが、当時の肯定的な書き込みをすべて「熱心なファンの称賛」と数えることです。
掲示板には皮肉や冗談、過剰に持ち上げることで笑いを作る文化もあります。
逆に、否定的な投稿をすべて「客観的な欠点」と数えることもできません。
だから『おんねこ』について「ネットでは好評だった」「ネットでは酷評されていた」のどちらか一方だけを証明しようとすると、実態から離れてしまいます。
私が資料を見比べて感じるのは、むしろ好意・批判・皮肉・興味本位が同じ場所に混ざっていたこと自体が、この作品の特徴だということです。
おんねこと「ちいかわ」はパクリ?裁判の内容も整理
『おんねこ』の評判を調べると、避けて通れないのが『ちいかわ』との比較です。
2022年夏には両作品を比較する反応が広がり、「似ている」「パクリではないか」といった強い言葉もネット上で見られるようになりました。2022年7月23日の時点で『おんねこ』が「なぜ叩かれているのか」と質問されていることからも、この論争が早い段階で作品イメージに影響していたことがうかがえます。
しかし、ネット上で「パクリ」と呼ばれたことと、法律上の著作権侵害が認定されたことはまったく別です。
ここは特に誤解しないよう整理しておきましょう。
『おんねこ』については、2024年4月25日に大阪地方裁判所が判決を出した発信者情報開示請求事件があります。
ただし、この裁判は『おんねこ』が『ちいかわ』を著作権侵害したかどうかを争った裁判ではありません。
裁判で問題になったのは、別のXユーザーが『おんねこ』の画像4点を添付して投稿した行為です。
判決文によると、株式会社ラウンドワンは2022年6月15日と12月20日に、クレーンゲームの景品として使用するキャラクターを募集する投稿を行いました。
そして問題となった第三者は2022年12月22日、『おんねこ』の画像4点を添付し、ラウンドワン側の募集投稿へ返信する形で投稿しました。
大阪地裁は、4点の画像について、猫の姿や動物がお菓子を見る構図、台詞を含む漫画表現などに作成者の創作的な表現があるとして、著作物に当たると判断しました。
さらに第三者が画像を添付して投稿した行為について、画像を複製し、不特定または多数の人がインターネット上で閲覧できる状態にしたとして、複製権と公衆送信権の侵害を認定しています。
被告側は批評目的などによる「引用」に当たると主張しました。
しかし裁判所は、投稿内容が原作者の作品や応募行為を揶揄・茶化すものと評価でき、引用目的上の正当な範囲で画像を利用したとは認められないとして、適法な引用との主張も退けています。
最終的に大阪地裁は、プロバイダーである株式会社ベイ・コミュニケーションズに対し、氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの発信者情報を開示するよう命じました。
ここから言えるのは、
「『おんねこ』の画像を第三者が無断利用した件で、著作権侵害が認められた」
ということです。
ここから、
「裁判所が『おんねこ』を『ちいかわ』のパクリだと認定した」
と読み替えることはできません。
むしろこの裁判では、『おんねこ』側の画像そのものについて創作性が認められ、著作物として保護対象になると判断されています。
この違いはかなり重要ですよね。
ネットでは刺激的な一言ほど広まりやすいため、「おんねこ」「裁判」「著作権」「ちいかわ」といった単語だけが並ぶと、別々の出来事が一つにつながって見えてしまいます。
しかし事実関係を追うなら、分けて考える必要があります。
筆者としては、『おんねこ』をいつまでも「ちいかわに似ているかどうか」だけで評価してしまうのも、少しもったいないと感じます。
裁判資料にも残っている通り、作者が打ち出していた作品の核は「温泉が好きなネコ」でした。
温泉街、湯上がり、旅先の出会い、地域ごとの風景など、「温泉好き」という設定だけでも独自の世界を広げられます。
もし作品を純粋に評価するのであれば、他作品との比較だけではなく、『おんねこ』自身が持っていた「温泉×猫」という題材を、どこまで物語上の魅力へ育てられていたかを見ることも必要でしょう。
おんねこの評判をどう見る?「嫌いなのに気になる」理由を考察
ここからは、資料を見たうえでの私見です。
『おんねこ』について最も興味深いのは、「好きな人」と「嫌いな人」がきれいに二分されなかったことだと思います。
批判しているのに、コマを細かく見る。
絵が変だと言いながら、横顔やポーズを比較する。
台詞がおかしいと言いながら、その台詞を覚えている。
「もう見たくない」で終わらず、「次は何が出てくるのだろう」と読み続ける。
2022年7月の掲示板記録を読むと、そうしたねじれが非常によく表れています。
なぜでしょうか。
私は三つの要素が重なったからだと考えています。
第一に、絵柄の識別力が強かったことです。
横顔や表情、身体の角度まで議論されたことは、否定的評価だけを意味しません。
それほど一度見た絵が記憶に残った、とも考えられます。
第二に、読者の予想から少し外れる台詞や展開があったことです。
きれいに予想通り進めば、そのまま読み終えます。
しかし「なぜそう言ったの?」「どうして次にその行動をするの?」という小さな違和感が生まれると、人は誰かに確認したくなるんですよね。
第三に、短いSNS漫画とネット上の再解釈の相性が良かったことです。
数コマだけならスクリーンショットや引用で話題にしやすく、作品全体を読んでいない人でも会話に参加できます。
ただし、この三つ目には大きな問題もあります。
一部分だけが共有されると前後関係が失われます。
そこへ最初の投稿者の解説が加わり、次の人がさらに要約し、その要約だけを見た別の人が感想を書く。
こうなると、
原作で実際に描かれた内容
と、
ネット上で定着した解釈
の境界が少しずつ見えにくくなります。
これは『おんねこ』に限った話ではありません。
炎上した漫画、アニメ、ゲームなどを後から検索すると、原作を見る前に「ここが問題」「このキャラはこういう性格」と説明された情報へ触れることがあります。
すると、その解説を知った状態で作品を見るため、最初から同じ結論へ誘導されやすくなるんです。
だから私は、『おんねこ』の評判を調べるときほど、
作中で確認できる描写 → 当時の読者の感想 → 後から生まれた解釈
という順番で分けて考えることが大切だと思います。
「意味不明と言われているから意味不明な漫画」
「怖いと言われているから怖い絵」
「パクリと言われているから著作権侵害」
と一段飛ばしに結論を出すと、事実と評価が混ざってしまいます。
そして2022年9月30日の更新終了も、その考え方が必要な出来事です。
公式アカウントが確認できる範囲で説明したのは、さまざまな意見がある中で熟考し、描き切れていないエピソードが残る中で更新を終了する、という内容でした。
それ以上の理由を外部から断定するべきではないでしょう。
私は『おんねこ』を、単純に「人気漫画」「炎上漫画」「つまらない漫画」のどれか一つだけに分類するのは難しいと考えています。
漫画としての読みやすさや作画を重視すれば、厳しい評価になる人もいるでしょう。
かわいい動物キャラクターを期待した結果、絵柄や展開が合わない人もいるでしょう。
一方で、これだけ長い期間にわたって「なぜこう描いたのか」「この場面は何だったのか」と語られる作品には、少なくとも人の注意を止める力があったとも言えます。
「可愛くない」と言われながら、顔が分析される。
「意味不明」と言われながら、ストーリーが検証される。
「うざい」と言われた動きが、後まで覚えられる。
「面白くない」と批判する人まで、次の作品を確認する。
この矛盾こそ、『おんねこ』が普通の低評価作品とは少し違うところなのではないでしょうか。
まとめ:おんねこは「面白さの種類」が評価を割ったWeb漫画
『おんねこ』は、和々寺らおんさんによる、温泉好きの猫を中心としたWeb漫画です。作者自身が「温泉が好きなネコの漫画」と紹介していたことは、後の大阪地裁判決の資料からも確認できます。
2022年夏には『ちいかわ』との比較などをきっかけに広く話題となり、絵柄、表情、台詞、ストーリー展開に対して厳しい意見が出ました。一方で、「批判しながらも見てしまう」といった反応もあり、単純な低評価一色ではなかったことが当時の記録から分かります。
「意味不明」「うざい」「きもい」「怖い」「可愛くない」という言葉も、すべて同じ意味ではありません。
展開の情報不足を指す人もいれば、表情や動き、キャラクターデザイン、物語全体の空気感に違和感を覚える人もいます。
また、『ちいかわ』と比較され「パクリ」という言葉が使われたことと、法律上の著作権侵害は別問題です。
2024年4月25日の大阪地裁判決は、『おんねこ』と『ちいかわ』の類似性を判断した裁判ではなく、第三者が『おんねこ』の画像4点をX投稿に利用した行為について、複製権・公衆送信権の侵害などを認めた発信者情報開示請求事件です
そして『おんねこ』公式アカウントは2022年9月30日、漫画とイラストの更新をやめることを発表しました。描き切れていないエピソードがあることにも触れており、物語の途中で区切りを迎えています。
筆者としては、『おんねこ』最大の特徴は「評価が低かったのに残った」ことではなく、「見た人が何かを言いたくなる引っかかりが強かった」ことだと考えています。
整ったストーリーや安定したかわいらしい絵柄を求める人には、合わない部分があるかもしれません。
一方で、少し予想を外す台詞や独特な表情を「これはどういうことだろう?」と考えながら楽しめる人にとっては、その違和感自体が面白さになります。
つまり「おんねこは面白い?」への答えは、何を「面白い」と呼ぶかで変わります。
作品としての完成度と、ネット上で人の記憶に残り会話を生み出す力を分けて見ると、なぜ『おんねこ』の評判がここまで極端になったのかが、かなり分かりやすくなるのではないでしょうか。
よくある質問
おんねこは結局、面白い漫画ですか?
評価は大きく分かれます。
分かりやすいストーリーや安定したキャラクターデザインを重視する人には違和感が残る可能性がありますが、予想外の台詞や表情を面白がる人もいました。2022年当時の掲示板には、批判しながらも「面白くて見てしまう」という趣旨の反応も確認できます。
おんねこが「うざい・きもい・怖い」と言われるのはなぜですか?
一つの理由ではありません。
表情やポーズを「怖い」と感じる反応、台詞や人物の行動に違和感を覚える反応などが混在しています。これらはネットユーザーによる主観的な評価であり、『おんねこ』そのものの客観的な性質として断定することはできません。
おんねこは現在も連載されていますか?
『おんねこ』公式アカウントは2022年9月30日、漫画・イラストの更新をやめると発表しました。
発表では、描き切れていないエピソードが残っていることにも触れており、「物語半ば」で更新を終了した形です。なお、2024年の大阪地裁判決では、第三者による『おんねこ』画像4点のX投稿について著作権侵害が認められているため、過去作品を探す場合も画像の無断転載・再配布には注意したいところです。
執筆:星野悠真(エンタメ系コラムニスト / IT会社員)


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